4年前、「京都アニメーション」のスタジオが放火され、社員36人が死亡した事件で、殺人や放火などの罪に問われている青葉真司被告の裁判員裁判が、5日から京都地方裁判所で始まります。
異例の裁判ですが、審理の公開はどうなるのでしょうか。
Q:イラストは多くの人が法廷に訪れています。ただ、入れない人もたくさんいるようです。
A:5日の初公判は京都地裁の一番大きな法廷が使われます。裁判所によると傍聴席は88席あります。
しかし社員36人が死亡し、32人が重軽傷を負った大規模な事件ですから、傍聴希望の遺族や被害者も多く、報道機関の席もあるため、抽選が行われる一般傍聴席は大幅に少なくなりそうです。
Q:遺族や被害者の他にも、知り合いや友人など「何が起きたのか知りたい」と傍聴を希望する人は多いのではないでしょうか。
A:アメリカやイギリスなどでは、法廷のテレビ中継やネットで動画を公開しています。司法の透明性を確保するためですが、日本ではこうした仕組みについて消極的です。
ある幹部は、オンラインだと映像が拡散する恐れがあると話していました。ただ心配ならネットではなく有線でつないで、裁判所の中の別室でモニターできるようにする手段もあるはずです。
最高裁はいま裁判のIT化に熱心なはずなのに、公開に対しては腰が引けている印象も受けます。
Q:さらに壁ができました。「匿名」と書かれています。
A:法廷で被害者の一部は名前など伏せられ、番号もしくは記号で呼ばれるとみられます。
この匿名審理、これまで性犯罪や暴力団の事件が中心でした。しかし今回はこうした事件とは異なります。こうした匿名が行き過ぎてしまうと、法廷の中は番号や記号ばかりになってしまい、何が起きていたのかを理解することが難しくなってしまいます。
Q:審理の見通しはどうなっていますか。
A:裁判員裁判で来年1月まで行われます。国民が審理に参加する。その一方で、国民が傍聴する機会を著しく損なうことになれば、好ましいとは言えません。
複雑で重大な事件だからこそ、プライバシーと「裁判の公開」を両立させることが望まれます。
初公判は5日午前10時半からの予定です。
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