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国民民主党 玉木代表再選 課題は

成澤 良  解説委員

国民民主党の代表選挙は、9月2日に投開票が行われ、玉木代表が前原代表代行を抑えて再選されました。

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Q)玉木氏が前原氏を引き離してゴールしましたね?

A)他の政党との連携のあり方が最大の争点となった代表選で、玉木氏は、政策本位で自民党との協調も排除しないと訴えました。
全体の7割を超えるポイントを獲得し、信任を得た結果だと言えます。

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Q)ただ、再選後もハードルが待ち構えていますね?

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A)まずは、党の結束維持です。
玉木氏は、政権の一翼を担えるようになるためにも、党の地力をつけることが最優先という考えですので、次の衆議院選挙で野党間の候補者調整には否定的です。
ただ、党の支持率は、ひと桁台前半で低迷しています。
立憲民主党と国民民主党を支援する労働組合の中央組織の連合からは「候補者が別々だとやりづらい」として、両党の連携を求める声が根強くあります。
また、代表選で、共産党を除く野党勢力の結集を掲げて敗れた前原氏は、同じ関西が地盤の日本維新の会の幹部とは近い関係です。
衆院選が近づけば、野党間で何らかの連携を模索する動きが出てくる可能性もあり、党内の路線対立が再燃する危うさもはらんでいます。

Q)まだハードルがありますね?

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A)もう1つの課題は、党勢の拡大です。
玉木氏は、自民党と連携してでも、国民生活に直結する賃上げやガソリンの値下げなどを実現させ、支持の拡大につなげる戦略を描いています。
国民民主党は、政府の令和4年度の予算案に、野党としては異例の賛成にまわり、他の野党から「自民党にすり寄っている」といった批判が噴出しました。
政府・与党の“補完勢力”と見られれば、国会議員が21人と野党第3党にとどまる党が埋没しかねません。
「連立政権に加わるのではないか」という憶測も消えないなかで、政府・与党との違いも見せつつ、党の存在感を高められるか。
玉木氏は、難しいかじ取りを迫られそうです。


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成澤 良  解説委員

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