国民民主党の代表選挙が8月21日に告示され、玉木代表と前原代表代行の2人による選挙戦がスタートしました。
Q)機関車の先頭の2人が進行方向をめぐって争っているようですね?
A)今回の代表選は、党の路線、とりわけ、他の政党との連携のあり方をめぐり、大きな分岐点になると思います。
結党以来、代表を務める玉木氏は「政策本位で与野党を超えて連携する」として、自民党との協調も排除していません。
「政権の一翼を担える勢力に党を育てたい」と訴えています。
一方、前原氏は「非自民・非共産の枠組み」を掲げ、共産党は除き、立憲民主党や日本維新の会など野党間の協力で政権交代を目指す考えです。
Q)違いが際立っていますね?
A)国民民主党は、野党でありながら、時に「政府・与党寄り」とも指摘される対応をとり、その是非が党内で分かれているからです。
去年、玉木代表は、ガソリンの値下げにつながる発言を岸田総理大臣から引き出せたと主張し、政府の昨年度の予算案に、党として賛成にまわる決断をしました。
これに対し、前原氏は、予算案に反対するのが野党であり、「強烈な違和感を覚えた」と批判し、路線問題にけじめをつけるため、立候補しました。
Q)どちらを選ぶかで大きく方向が変わってきますね?
A)そのとおりです。
党の路線は、次の衆議院選挙での野党間の候補者調整にも影響を与えそうです。
玉木氏は、政策面での違いが大きいとして、野党候補の一本化には否定的です。
一方、地元が京都の前原氏は、大阪を拠点とする日本維新の会の幹部と近い関係にあります。
前原氏が代表になれば、「候補者調整は行わない」としている維新の対応が変化する可能性があるという見方があります。
国民民主党の支持率は、ひと桁台前半で低迷が続き、党内には「路線対立が激しくなれば、分裂しかねない」と懸念する声もあります。
9月2日の投開票に、与野党双方から関心が集まっています。
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