ロシアでは夏休みで休暇の8月は、予想できないことが起きる“荒れる8月”ともいわれています。この8月、何が起きるのでしょうか。石川一洋専門解説委員に聞きます。
Q ロシアの8月、過去どのようなことがおきたのですか?
A 1991年8月、共産党保守派が連邦を守れとクーデターを起こしますが、改革派エリツィンが立ち上がり失敗、ソビエト連邦は崩壊の道を早めました。
98年8月、ロシア政府は債務不履行を宣言、銀行は破綻、取り付け騒ぎ、次の年の8月、国民の信頼を失ったエリツィン大統領は自分と家族を守ってくれる後継者として治安機関のトップだった無名な元スパイプーチン氏を首相に指名、大統領への道を開きました。
一方プーチン体制になってからも、2000年代、原子力潜水艦が沈没したり、旅客機爆破などテロが頻発したり、しました。
今は、ロシアはウクライナへの軍事侵攻をしているわけですから何が起きても不思議はありません。
Q どんなことが予想されますか?
A 先月30日にモスクワ中心部の高層ビル街がドローンで攻撃されました。大手の銀行や大企業、高級クラブなど豊かなモスクワを象徴する地域で、市民は大きなショックを受けました。今後、ウクライナからの攻撃がロシアの中心部に及ぶかもしれません。
戦争を遠いことと感じていた市民も日々恐怖を感じることになるかもしれません
一方プーチン大統領が報復だとしてウクライナにさらに残酷な攻撃をする恐れもあります。
Q プーチン大統領が恐れているのは?
A 武装反乱「プリゴジンの乱」の再現でしょう。
プーチン政権は乱の影響は収束したとしていますが、軍内部では不満が鬱積しているといわれています。大統領は、正規軍の内部から第二第三の乱がおきないか警戒しているでしょう。そうした不満を解消するためにはここは人事の刷新かとプーチン大統領は、来年3月の大統領選挙に向けて考えているかもしれません。
8月、今月は、まだ早いと私は思いますが、突然の人事はプーチン大統領の政治手法の一つですので油断はできません。
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