民間企業はサイバー攻撃への対策を強化するため、セキュリティーやIT人材の獲得に乗り出していますが、自衛隊も例外ではありません。
Q)このイラスト、自衛隊がレンガで壁を作ってサイバー攻撃を防ごうとしているのでしょうか。
A)装備が高度になるにしたがって、情報通信ネットワークへの依存度は高まっていますから、サイバー攻撃から装備やネットワークを守ることは自衛隊にとって喫緊の課題となっています。そのためサイバー専門部隊の人員を今の2200人から、4年後には倍の4000人規模に増やす計画です。
Q)どうやって4年間で2倍に増やそうとしているのでしょうか。
A)育成にも力を入れていますが、それだけでは十分ではなく、民間からの登用を進めようとしています。ただ、民間企業も、サイバー人材の確保にしのぎを削っていますから、思うように進んでいません。
そこで自衛隊が新たに導入しようとしているのが、「特定任期付自衛官制度」と呼ばれる制度です。高い技能を持つ民間人を、5年以内の任期で、幹部自衛官に採用するもので、報酬も、最高で、防衛省事務方トップの事務次官と同レベルにする破格の待遇です。
また、IT企業に勤めている人などを対象に、自衛官と同じ守秘義務を課した上で、自衛隊との兼業も認めます。
さらに、優秀な人材を発掘しようと、来月6日、一般から広く参加者を募って、システムの脆弱性をいち早く見つけ出す「サイバーコンテスト」を開いて、採用につなげたい考えです。
Q)こうした取り組み、うまくいきそうですか。
A)サイバー防衛の最前線に立つ経験が、その後の民間企業でも生きるというキャリアパスを示して、広く知ってもらうことが、まずは必要だと思います。
また、防衛省の幹部は、「体制の強化も大切だが、サイバー空間では、1人の優秀な人が、1000人に勝利することもある」と話すなど、才能ある人の獲得も重視しています。
民間との人材交流で底上げを図るという、これまでにない取り組みだけに、柔軟な処遇や評価基準で採用に臨めるかが、カギを握ると思います。
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