NHK 解説委員室

これまでの解説記事

高浜原発1号機あす再稼働 使用済み核燃料の中間貯蔵巡って福井県はどう対応するか

水野 倫之  解説委員

関西電力は福井県にある高浜原発1号機を、あす12年ぶりに再稼働させる。
ただ地元の対応によってはその後の稼働に影響が出る可能性も。水野倫之解説委員の解説。

C230727_1.jpg

高浜1号は運転開始から48年の、国内で最も古い原発。
関電は格納容器に鉄筋コンクリート製の天井をつけるなど老朽化や安全向上対策を完了させ、あす、12年ぶりに再稼働させる。
また、60年を超える原発の運転を可能にする法律がこの春成立。
高浜1号が最初となる可能性もあり、政府にとっても重要な原発。
しかし福井県の対応によっては稼働に影響が出る可能性も。

C230727_5.jpg

というのも福井の人たちが関西電力へ反発している。
高浜原発はじめ県内の3原発には使用済み燃料がたまり続け、プールはあと5年から7年でいっぱいになる見通し。
そのまま留め置かれることを警戒した福井県は県外に中間貯蔵施設を確保するよう求めてきた。
関電は今年末までに候補地を示すと約束、できなければ高浜1号含め3基を停止するとしていた。

C230727_7.jpg

しかし結局決められず、社長が先月知事に示したのが、高浜原発のごく一部の使用済み燃料をフランスの再処理工場に運ぶ計画。
その上で「県外に搬出されるので、約束は果たされた」との考えを示した。
これに対しては、「肩すかし」だとか「県民の思いを理解していない」と批判が相次いだ。
知事も「内容を精査したい」としており、高浜原発が稼働し続けられるのか不透明な部分が残っている。
これは、使用済み燃料を再利用する核燃料サイクル政策が、青森県の再処理工場がトラブルなどで完成延期を繰り返し、行き詰まっていることが根本の原因。
行き場のないものを一時的に海外に運んでも問題の先送りに過ぎない。
政府は今後も発生する大量の使用済み燃料をどうするのか、サイクル政策の抜本見直しの検討をしなければ。


この委員の記事一覧はこちら

水野 倫之  解説委員

こちらもオススメ!