アメリカのトランプ前大統領が連邦議会に支持者らが乱入した事件をめぐり起訴されたら、共和党の指名争いにはどんな影響があるでしょうか?髙橋解説委員とお伝えします。
Q1.
けさのイラストは、トランプ氏が熱気球になって上昇中?
A1.
来年の大統領選挙に向けた共和党の立候補者たちの強弱を気球の高さに喩えてみました。おととし1月の議会乱入事件をめぐり先週スミス特別検察官から通知が届いたトランプ氏。自らが捜査対象になっているとして、「近く起訴される可能性が高い」と反発しています。
Q2.
その割には表情に余裕があるようですが?
A2.
仮にトランプ氏が起訴されたら、いわゆる“口止め料”問題、機密文書の持ち出し問題に続いて、今回の議会乱入事件で3度目になります。これまで起訴のたびに共和党支持層からの支持率が上昇したことから、今回も追い風になるはずと考えているのでしょう。
Q3.
なぜトランプ氏の支持率は起訴で上昇したのか?
A3.
共和党支持層の中には、起訴はバイデン政権による「政治的な魔女狩りだ」とするトランプ氏の主張に賛同する人が多くいるからです。事件から時間が経つにつれて、当時の記憶も薄れつつあるのかも知れません。ほかの候補者たちの多くも、議会乱入は非難しても、トランプ支持者らの反発を恐れて、トランプ氏に対する直接批判には及び腰です。
Q4.
では共和党の指名争いには、どんな影響がある?
A4.
いま主な候補者たちの平均支持率はご覧のような状態です。トランプ氏は2位のデサンティス氏に30ポイント以上の大差をつけています。いわば“1強1弱その他大勢”そんな構図が固まりつつあるようです。
アメリカの政治家や広告業界には“どんな広告も良い広告”という格言もあります。たとえ悪い評判で炎上しても、注目を集めたら、関心を呼ばないよりはましという意味です。相次ぐ起訴で良くも悪くも注目を浴び続けるトランプ氏。共和党の大統領候補の座にさらに近づく可能性が高くなりそうです。
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