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安倍派「5人衆」体制に移行か 

曽我 英弘  解説委員

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安倍元総理大臣が死去してから、8日で1年となる。この間、自民党の最大派閥安倍派はトップ不在が続いた。それは長く権力を握った安倍氏に代わり、衆目の一致する後継者を決める難しさに加え、過去の苦い歴史もあって、慎重にならざるを得なかったとみられる。というのも派閥の代替わりの度に分裂を繰り返したためで、安倍氏の父、晋太郎元外務大臣が亡くなった際にも、後継争いが激しくなり一部の議員が派閥を去った。

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現在安倍派は自民党議員の4人に1人、100人を擁するまでに勢力を拡大した反面、派内をまとめるのはそう簡単でない。このため後継者を強引に決めることなく、会長代理を務める塩谷元文部科学大臣、下村元政務調査会長が暫定的に運営してきたが、ここにきて新たな体制にすべきだという声が派内で出ている。
その背景には今後の政治日程が関係している。夏から秋にも行われる見通しの党役員人事や内閣改造で今の勢力にふさわしいポストを確保し、次の衆議院選挙への備えを万全にするには、トップが先頭に立つことが不可欠だという考えからだ。そして、その候補とされている「5人衆」、萩生田政務調査会長、世耕参議院幹事長、松野官房長官、西村経済産業大臣、高木国会対策委員長は先週、自分たちを中心とした体制を目指す方針を確認した。5人は今週にも新たな体制に移行したい考えだが、焦点は塩谷氏ら派内の理解をいかに得るのか。またそれぞれの役割と責任をいかに明確にするのか。さらには、5人を中心とした体制をいつまで継続し、どこかの時点で最終的にトップを一人に絞り込むことはないのか。
安倍派の後継体制の行方は、岸田内閣に臨むスタンスにも微妙な影響を与えるとみられ、死去からまもなく1年を迎える安倍派の今週の動向に注目だ。


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曽我 英弘  解説委員

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