原発から出る高レベルの放射性廃棄物・核のごみの最終処分場を巡り、長崎県の対馬で新たな動き。水野倫之解説委員の解説。
対馬市議会に、核のごみの最終処分場に関する請願が9件出されている。
核のごみは放射能レベルが極めて高く、政府は地下深くに10万年隔離する方針で、処分場建設に向けて論文などで地盤を調べる第一段階の文献調査をする自治体を公募。
対馬市では建設業の団体などが調査応募を求める請願を出したの対し、市民団体などが調査応募反対の請願を提出。
なぜ今、対馬でこうした動きが出ているのか。
背景にあるのは人口減少と経済の疲弊。調査で最大20億円の交付金が出ることも関係している。
人口はこの15年で1万人近く減少して2万7000人あまりに、主要産業の観光もコロナの影響で韓国からの旅行客が減少。
推進派は島の衰退を止めるには、交付金をもとに独自政策を打つしかないと訴え、反対派は、安全性への懸念があり、風評で漁業や観光に影響が出ると訴え、推進反対とも動きが活発に。
請願はきょうから始まる市議会で、特別委員会が設置され、この先審議される。
ただ仮に請願が採択されても拘束力があるわけではなく審議結果を受けて、今は態度を明確にしていない市長がどう判断するかがこの先、焦点に。
そしてこうした動きを固唾をのんで見守っているのが、政府。
政府は動きを歓迎。というのも、原発回帰に舵を切り、ごみ問題解決が不可欠だとして、全国10か所程度で調査を進めたい考えだが、3年前に調査が始まった北海道の寿都町と神恵内村以降、手を上げる自治体はないままだから。
とは言え、対馬で動きが表面化してまだ数か月、市民の間には安全性への懸念もあるわけですので、見守るだけでなく、前に出て疑問や懸念に答えていく必要がある。
この委員の記事一覧はこちら