G7サミットが広島で開幕。初日のきょう、各国はまず世界経済の情勢や課題について意見を交わすところから討議を始めます。櫻井解説委員です。
Q1 こちらはG7各国と新興国・途上国の首脳が世界経済を支えているイラスト。
世界経済の現状について各国はどのような認識を示すのでしょうか。
A1 国際社会の平和と繁栄のためには、世界経済の安定が不可欠ですが、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、その礎(いしずえ)が揺らいでいる、というのが多くの国の認識ではないかと思います。
というのも、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除され、本来であればここからは世界経済の力強い回復が期待されるところでした。しかし実際には、緊迫する国際情勢の影響で、先進国はもちろん新興国や途上国も、食料やエネルギーをはじめとする物価高や、サプライチェーンの停滞といった厳しい課題に直面しています。
また、これまでは各国が経済面での相互依存を深めることが、平和と経済発展に貢献すると期待されてきましたが、こうしたグローバル化の流れを、逆手にとる動きもあり、その影響が、心配されています。
Q2 逆手にとる動き?どういうことですか?
A2 大国が相手国に対して、輸出や投資を制限することで圧力をかける「経済的威圧」と呼ばれる動きのことです。米中対立が続く中、こうした問題に対処するための国際機関、WTO・世界貿易機関も、機能不全となっています。
そこで今回は、首脳宣言のほかに、G7サミットでは初めてとなる経済安全保障に関する成果文書も発表し、圧力の標的となる国をG7が支援する、と表明することで、経済的威圧をはねかえそうとしています。
Q3 そうなると、あす2日目からの新興国や途上国との対話も、より重要になってきますね。
A3 そのとおりです。たとえば先進国と新興国が参加するG20では、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、各国の思惑の違いから共同声明を採択できない状況が続いています。そこで被爆地・広島に集うこの機会を最大限に活かすことが期待されています。
核兵器の使用すらちらつかせるロシアに対し、金融制裁の手を緩めず、間違っても取り返しのつかない過ちをおこさせないこと。そしてこれ以上争いの火種が増えないよう、各国が連携して、世界経済の安定への道筋をつけることが求められています。
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