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いつからもらえる? デジタル給与

竹田 忠  解説委員

給料の受け取り方に新しい選択肢が増えます。
デジタル給与です。担当は竹田忠解説委員です。

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Q①
今回のタイトルは「いつからもらえる?デジタル給与」ですが、
今月(4月)からもう解禁されているのでは?

A
とメディアでは言われてますが、チョット意味が違います。
“今月から解禁”というと、
普通は今月からデジタル給与の振り込みが始まると理解されると思いますが、
たとえば今月、デジタル給与を受け取れる人は、1人もいません。
まだ先の話しです。

Q②なぜ、そうなるんですか?

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そもそも給料は現金で直接払うのが法律上の原則です。
銀行振り込みは、例外として認められています。
政府としては、日本が遅れているキャッシュレスを推進するために
この例外にデジタル給与も加えることになった。

対象となるのは〇〇ペイと呼ばれる電子マネーですが、
いろんな種類があるので厚生労働省が審査をし
指定したものだけがデジタル給与で使われます。
その審査に数か月かかりますので
デジタル給与の開始は早くても夏以降と見られます。

Q③給料の仕組みはどう変わるんでしょうか?

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今は、企業が給料を銀行に振り込んで、それを従業員が現金で引き出したり、
スマホのアプリにチャージしたりして使っています。
それが、銀行を通さずに、企業が直接、従業員のスマホにデジタルで入金できるようになる。
ATMに並んだり、チャージする手間が省ける。

Q③便利なようですが、安全性は?


そこが最大の課題です。
そのため国は、振り込める上限は残高100万円までとした上で、
万一の場合はキチンと返済される仕組みがあるものだけを認める方針です。

もう一つ注意が必要なのは、
企業にとっては通常、銀行の時より振込手数料が安くなると見られます。
だからといって一方的にデジタル給与を導入することはできません。
あくまで組合との労使協定や本人の同意が必要です。

賃金というのは労働者にとって最も重要な生活の基盤ですから
ルールはしっかり守ってほしいと思います。


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竹田 忠  解説委員

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