先週、新年度予算が成立したことを受けた後半国会は波乱が起きる可能性も否定できない。というのも与野党の対決法案が数多く控えている点。さらに今後の展開次第では衆議院の解散・総選挙のタイミングが、年内の可能性も含め早まるのではないかという憶測が政界でくすぶっているからだ。
その背景にあるのは、まず内閣の状況が一時期に比べ比較的安定していること。また春闘では賃上げが相次ぎ、新型コロナも落ち着きつつあることも政権には好材料とみられる。さらに4月の統一地方選挙と衆参の補欠選挙、5月のG7広島サミットが終われば、その後の日程に比較的余裕があることも憶測を呼ぶ要因となっている。
今後の展開を考える上でも重要な判断材料となるのが、政府の少子化対策の行方だ。先週末、児童手当の所得制限の撤廃などを盛り込んだたたき台がまとまり、これからいよいよ、いつから、何を、どれだけ、実現するのか。そして何より、必要な財源をどう確保するのか議論し、6月の「骨太の方針」までに一定の結論を出すことになる。その際、新たな負担を国民に求めたり、社会保険など他の財源を活用したりするならば、防衛や原発など一連の政策変更とともに、国民に信を問うべきだという声が高まってもおかしくない。
岸田首相は「今、衆議院の解散は考えてない」と述べ、与党内にも重要課題への取り組みを優先すべきだという意見も根強くある。これに対し野党側には準備が整わない中での解散に警戒感もあり、統一地方選挙などの結果も岸田首相の判断に少なからず影響を与えることは間違いない。それだけに、6月下旬の会期末にかけて、緊張感が増す展開となりそうだ。
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