NHK 解説委員室

これまでの解説記事

岸田首相ウクライナ訪問どう生かすか

権藤 敏範  解説委員

岸田総理は21日、ウクライナを訪問してゼレンスキー大統領と首脳会談を行いました。

Q)このイラストのように時を同じくして2つの首脳会談が行われましたが、岸田総理の狙いをどう見ますか?

C230323_3.jpg

A)G7の結束をアピールすることです。
ロシアの軍事侵攻が長期化する中、中国の習近平国家首席がロシアを訪れプーチン大統領と会談し緊密な関係を誇示しました。両国と対立を深めるアメリカを強くけん制した形です。
このため価値観を共有するG7が一枚岩となってウクライナへの揺るぎない連帯と支援を継続することを、G7議長国として国際社会に示したかったのだと思います。

Q)では、今回の会談を岸田総理はどう生かしていくのですか?

C230323_5.jpg

A)5月のG7広島サミットに向けて課題は2つあると思います。
1つは、欧米側とロシア側のどちらにもつかない「グローバル・サウス」と呼ばれる国々への働きかけを強めることです。日本は力による一方的な現状変更は決して許さないという立場です。岸田総理が、ウクライナ訪問の前にグローバル・サウスの代表格とされるインドを訪れたのも、こうした国々への理解を広げ、ロシアに対峙する国際世論を形成したいという考えがあるのではないでしょうか。

Q)もう1つは何ですか?

C230323_7.jpg

A)唯一の戦争被爆国として核兵器の使用は威嚇も含めて容認しないという姿勢を強めることです。広島サミットにはゼレンスキー大統領もオンラインで参加する意向で、ロシアによる核兵器の威嚇への対応などを取り上げて欲しいと求めています。岸田総理も核兵器のない世界の実現を目指していますので議論をどうリードしていくのか。そしてウクライナ情勢の打開に向けて具体的な成果を示せるのか。
一方で、日本周辺の安全保障環境が厳しさを増しているという課題は残ったままですので、中国やロシアとどう向き合っていくのか注目です。


この委員の記事一覧はこちら

権藤 敏範  解説委員

こちらもオススメ!