6月から、訪問販売などの契約書を紙でなくメールで渡せるようになります。それによって、悪質な事業者による被害が増えないよう消費者庁が、今週、対策を公表しました。今井解説委員。
Q)こちら。被害を防ぐ対策をまとめた消費者庁に、注文をつけているのですか?
A)消費者政策を監視する役目の消費者委員会です。本来、ともに、消費者を守る立場。同じ方向を向いているはずが、消費者庁に異例の注文をつける事態になっているのです。というのも、消費者庁が訪問販売などについてまとめた、この対策、
▼ メールで送った契約書がちゃんと届いたかを消費者に確認するよう事業者に義務付けられています。が、
▼ 問題は、その送り先。検討の過程で、スマホはダメだという意見が強くでていたにも関わらず、スマホを認めたからです。
Q)スマホは何が問題なのですか?
A)訪問販売は、突然の勧誘でよく考える間もなく、契約を求められるので、トラブルが多い。このため、一定の期間無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」が認められて、紙の契約書では、赤く大きな字で書くことが義務付けられています。それが、パソコンより小さいスマホで見ることになると、クーリング・オフに気付かず、期間が過ぎてしまう心配があるというのです。消費者庁は、デジタル化を進める国全体の方針のもと、スマホしかもっていない人も多いので、認めることにしたなどとしていますが、消費者委員会は
▼ スマホでも、クーリング・オフの情報を、わかりやすく目立つよう表示すること。その上で、
▼ 今後、スマホで被害が増えるようなら、対策の見直しを含めて検討するよう消費者庁に求めました。
Q)確かに、スマホで小さな文字だと心配がありますね。
A)消費者庁もきちんと対応するとしていますが、消費者団体や日弁連などからは、そもそも不意打ちの勧誘について規制を強化するよう求める意見もでています。消費者庁は、被害が増えないよう対応することはもちろん。今後は、抜本的に被害をなくす対策にも力を入れて取り組んでほしいと思います。
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