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ブラジル次期大統領 外交"事始め"は?

髙橋 祐介  解説委員

年明けから新政権が発足する南米ブラジルは、どのような外交を進めるでしょうか?髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、ルーラ次期大統領が地球儀の煤払い?
A1)
年末は正月を迎える準備でお忙しい方も多いかと思います。ルーラ次期大統領も同じです。かつて2期8年にわたり左派政権を率いたルーラ氏は、右派のボルソナロ大統領を破り、来年1月1日、12年ぶりに政権に復帰します。新政権の外交は、多国間主義を掲げます。いま世界は欧米と中ロの対立が鮮明ですが、ブラジルは、どちらとも関係を重視するユニークな存在になりそうです。

Q2)
どういうこと?
A2)
新政権は、欧米と対立する南米ベネズエラのマドゥーロ政権と国交を回復する方針です。ブラジルに左派政権が誕生することで、南米の主要国はほぼ“左派一色”になりますが、次期大統領は、アメリカとも良好な関係を保つよう目指すのが特徴です。バイデン大統領も、ルーラ氏をホワイトハウスに招待し、気候変動対策を協力して進めたいとしています。
一方、ブラジルの最大の貿易相手国は中国です。次期大統領は、就任早々アメリカと中国をそれぞれ公式訪問したいとしています。
さらに、新興国BRICSの一角を共に占めるロシアのウクライナ侵攻を非難しながらも、プーチン大統領とすでに電話で会談し、関係強化で一致しています。
機能不全に陥った国連安全保障理事会の改革をめざす立場は、日本やアフリカ連合などとも共通しています。

Q3)
何だか誰とでも仲良くするようにも聞こえますが?
A3)
かつて政権を担った当時と違って、ブラジル経済は伸び悩み、貧困層から期待を背負った次期大統領にとって、成長力の回復と格差是正が最優先課題です。そのためには、欧米と中ロのどちらを選ぶなどと言っていられないのは確かでしょう。
ただ、南米随一の民主主義の大国で、「グローバルサウス」と呼ばれる発展途上国のリーダーとしての顔も持つブラジルは、いまの国際社会に欠けている“対話の調整役”を果たせるかも知れません。
何事も最初が肝心です。年明けのルーラ外交に注目です。


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髙橋 祐介  解説委員

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