日本とイギリス、イタリアの3か国が9日、次期戦闘機を共同開発すると発表しました。
3か国共同開発にはどんなメリットがあるのでしょうか。
Q.日本がイギリス、イタリアと共同で開発するメリットは何でしょうか。
日本はF2戦闘機に代わる次期戦闘機FXの2035年ごろの自衛隊への配備をめざし、イギリスも同じ時期に「ユーロファイター」の後継機「テンペスト」の導入に向けイタリアと共同開発を計画していました。双方の開発計画を一体化したのが、「グローバル戦闘航空プログラム」です。3か国が共通の機体を開発、生産することによりコストを大幅に削減できるうえ、それぞれの技術を結集してより高性能の戦闘機を開発できるメリットがあります。日本が戦闘機をアメリカ以外の国と共同開発するのは初めてとなります。
Q2.アメリカ以外の国と組むことにはどんな意味があるのでしょうか。
ヨーロッパとインド太平洋地域の安全保障は不可分だといわれ、日本にとってはアメリカ中心だった安全保障環境をヨーロッパも含め拡大強化することができます。また、これまでのアメリカとの共同開発では日本の技術が限られ、重要な情報にアクセスできないブラックボックス化が指摘されていただけに、3か国が対等の立場で参加することにより自由なアクセスが可能となり、独自技術の維持や開発にもつながると期待されています。一方、イギリスにとってはインド太平洋地域での存在感を高め、市場の開拓につなげたいという思惑や、フランス、ドイツ、スペインによる次期戦闘機の共同開発に対抗する狙いもあります。
Q3.イギリスとの防衛協力はこの地域の安全保障にも影響を及ぼしそうですね。
次期戦闘機の共同開発は特定の国をターゲットにしたものではないとしていますが、中国の脅威に対抗し台湾有事などの事態に備えるためにも、アメリカと連携しながら日英両国が防衛協力を強化する意味は大きいと専門家は話しています。ただ、戦闘機の開発には莫大な費用と時間がかかるうえ、現状では日本の海外への輸出も制約があるだけに初の3か国共同開発を軌道に乗せるには克服すべき課題も少なくありません。
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