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どうなる?終盤国会。補正予算案や被害者救済法案の行方は

権藤 敏範  解説委員

衆議院予算委員会では25日から今年度の第2次補正予算案の審議が始まり、いよいよ終盤国会のヤマ場を迎えます。

Q)岸田首相が逆風にさらされていますね?

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A)わずか1か月の間に3人の閣僚が辞任したことについて、いずれも「決断が遅れた」と与党内でも批判され、国会や外交日程に影響を与えました。それによって政権の体力を奪われ、岸田首相の求心力が低下したとの指摘も出ているからです。

Q)その岸田首相、どう対応するのですか?

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A)まずは今年度の第2次補正予算案を速やかに成立させて物価高に対応する。さらに旧統一教会の被害者救済を図る新たな法案を今国会で成立させ、この問題に一区切りをつけて政権の立て直しを図りたい考えです。ただ思い通りにいくのかは分かりません。

Q)どうしてですか?

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A)今国会は12月10日までですが、野党ペースで国会審議が進んでいるからです。閣僚の辞任によって補正予算案の委員会での審議入りが遅れ、野党がこれまでより多くの審議時間を要求していることから、成立は12月2日以降になる見通しです。閣僚が国会答弁で立ち往生したり、政治とカネの問題でさらに追及を受けたりすれば、審議日程がますます窮屈になります。

Q)一方で、被害者救済を図る新たな法案への対応はどうですか?

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A)これもなかなか難しいのです。立憲民主党など野党側は、政府の法案の概要では被害者の救済には不十分だと批判しています。岸田首相が、どこまで野党側の意見を取り入れ歩み寄るのか、最終的に立憲民主党などと物別れに終わっても今国会での成立にこだわるのか、難しい決断を迫られます。今後、会期の延長が避けられない事態となるかもしれませんが、年末に向けて、安全保障関連の3文書の改定や来年度予算案の編成などが控えており、日程的には非常に厳しい状況です。それを考えた上でも、25日からの国会審議がどう進むのか注目です。


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