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トランプ前大統領"復活の日"!?

髙橋 祐介  解説委員

アメリカのトランプ前大統領は、15日、「重大発表を行う」と予告しています。2年後の大統領選挙に再び立候補する意思を表明するでしょうか?髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1.
けさのイラストは、映画のセットみたいですね?
A1.
生きる希望をテーマに人類滅亡の危機を描いた懐かしの映画「復活の日」。あの映画の主人公と同じぐらい今のトランプ氏は、孤独を噛みしめているかも知れません。中間選挙で自らが推した多くの共和党候補が苦戦または落選し、党内からは前大統領の責任を問う声がわき起こっています。保守系メディアも、まるで手のひらを返したかのように、フロリダ州のデサンティス知事らにスポットライトを当てています。“トランプ復活”を印象づけるには、ある意味で最悪のタイミングと言えるかも知れません。

Q2.
では、立候補を明言しない可能性もある?
A2.
その可能性もゼロではありません。しかし、やはり2024年の大統領選挙に向けて、キャンペーン開始を宣言する可能性は高そうです。トランプ氏自身、この日は「わが国の歴史上もっとも重要な日のひとつになるよう願う」として、強気の姿勢を崩しません。ここで立候補表明を思いとどまれば、自ら責任を認めたことにもなりかねないからでしょう。
むしろ自らカメラのシャッターを押すことで、党内のライバルたちの動きに先手を打ちたい。あるいは議会乱入事件や機密文書の持ち出しなど、さまざまな疑惑をめぐる司法捜査を「大統領選挙への不当な介入」を理由にかわしたい。そんな思わくも見え隠れしています。

Q3.
共和党は、トランプ前大統領の立候補をどこまで支持するでしょうか?
A3.
そこが焦点です。共和党支持層の3割ほどとみられるトランプ岩盤支持層は熱狂するでしょう。しかし、過激な主張をくり返すトランプ氏が前面に出れば出るほど、穏健な共和党支持層や無党派層からの支持を遠ざけていることは、中間選挙の結果からもうかがえます。かつて選挙戦の常識をことごとく覆し、まさかのホワイトハウスまで登り詰めたトランプ劇場は、かつてなく冷ややかな視線を浴びながら、再び幕を開けようとしているようです。


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