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総合経済対策受け今後の国会論戦は

権藤 敏範  解説委員

物価高や円安を受けて、政府は10月28日、総合経済対策をまとめました。今後の国会論戦はどうなるのでしょうか。

Q)岸田総理は対策をまとめたのに何やら険しい顔ですね?

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A)課題が山積し内閣支持率も低迷しているからです。24日には経済対策を担当していた山際大臣を旧統一教会の問題で事実上「更迭」しましたが、対策をまとめる直前の交代は痛手で、対応が「後手に回った」との批判は与党からも出ています。岸田総理としてはこの問題に区切りをつけ、教会への「質問権」の行使や被害防止の法整備などで影響を抑えたい。そして経済対策として電気代やガス代の負担軽減策などを打ち出すことで反転攻勢を図りたいものとみられます。

Q)対する野党側は勢いづいていますね?

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A)今国会は野党ペースで進んでいると言えるからです。山際大臣を辞任に追い込んだとして自信も深めているようです。自民党では被害者救済に関わる消費者庁担当の大串副大臣が関連団体の「推薦確認書」に署名していたほか、寺田総務大臣や秋葉復興大臣には事務所費をめぐる問題などが指摘されています。野党側はこうした閣僚や党幹部らにも矛先を向け「辞任ドミノ」を狙います。
また野党の要求を与党がのむケースが目立つのも今国会の特徴です。旧統一教会の被害者救済に向けた与野党協議は立憲民主党と日本維新の会が主導して実現しました。岸田総理が衆参両院の本会議で閣僚交代の経緯を説明し謝罪したのも異例のことです。

Q)今後どうなりそうですか?

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A)政府・与党にとっては綱渡りの国会となりそうです。経済対策の裏付けとなる今年度の第2次補正予算案を12月10日までの会期内に成立させたい考えですが、審議が本格化するのは11月下旬からと見られます。国会日程は非常に窮屈で早くも「会期延長が避けられない」との見方も出ています。様々な課題がある中、予算案の審議が始まるまでに与野党の議論がどう進むのか注目です。


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権藤 敏範  解説委員

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