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国民年金 保険料65歳まで 議論開始へ

竹田 忠  解説委員

厚生労働省が国民年金を底上げする案について近く議論を始めます。
竹田忠解説委員です。

Qなぜ今、こういう議論を始めるんですか?

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実は年金制度は5年に一度、
このままで大丈夫かどうか、点検をすることになっていまして
その作業が来年から本格化します。
それに合わせて、議論される見通しなのがこの話し。
国民年金の保険料を払う期間を5年延長してはどうかと。
今は60歳まで保険料を納めるんですが、これを65歳までにしてはどうかと。

Qなぜ、そういう案が出てくるんですか?

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国民年金の底上げをしたいからです。
というのも、年金は二階建てになっていて、
会社員・公務員が入る厚生年金はこの両方の年金がもらえる。
一方、自営業やフリーランスが入る国民年金は一階部分のみです。
この結果、年金に大きな差が生まれていて、
厚生年金は平均で月に14万6000円。
しかし、国民年金は満額でも6万5000円。
平均では5万6000円程度なのが実情です。
さらに政府の推計では、少子高齢化の影響で
およそ20年後には3割程度水準が下がるおそれがある。
これでは老後、国民年金だけの人は生活がもっと厳しくなってしまう。

Qでも、保険料を長く納める、ということには反発も出るのでは?

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確かに、多くの人にとっては新たな負担で、
決して簡単なことではないと思います。
しかし、すでに厚生年金では、働いている限り
70歳まで保険料を払う仕組みになっています。
むしろ問題なのは、たとえば60歳の定年で
完全に引退して仕事をやめている人。
こういう人の場合は働いていなくても国民年金の保険料を
65歳まで払うことになると思われます。

いずれにしても、保険料を払う若い人が減っていく以上、
年金をもらう高齢者自身も年金を厚くするための努力が重要になってきます。政府はできるだけ早く、議論の情報を詳しく出して
国民の理解を求めることが必要だと思います。


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竹田 忠  解説委員

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