きのう(12日)、鹿児島県の発射場から打ち上げられた日本の小型ロケット「イプシロン」6号機は、飛行中に異常が発生したため機体を破壊する信号が送られ、打ち上げは失敗した。
イプシロンロケットの打ち上げ失敗は今回が初めて。失敗でどんな影響があるのか、水野倫之解説委員の解説。
きのうイプシロンロケットは指令破壊された。
今回上昇中にトラブルが発生し、どこに飛んでいくのかわからなくなった。
そうした場合、地上への影響を避けるため爆薬で破壊することになっていて、機体は衛星もろとも海上に落下したとみられる。
文部科学省とJAXAの対策本部が、原因究明を始めたところ。
詳しい原因はこれからだが、失敗の影響は大きい。
最も深刻なのは小型衛星打ち上げビジネスへの影響。
重さ数百キロ以下の小型衛星は10年前は年間数10機の打ち上げだったが、今や年間数千基のペースで需要は右肩上がり。
今世界では小型衛星をたくさん打ち上げてどこでもインターネットにつなげたり、地上のインフラや災害の監視も宇宙から行おうというビジネスが盛ん。
イプシロンはこの需要を狙って日本が開発したロケット。
これまで5回の打ち上げでコストダウンも進められ、今回初めて日本のベンチャーから小型衛星2機を受注し、商業打ち上げをまさに実現しようとしていたところ、出鼻をくじかれた格好となった。
ベンチャーも小型衛星でインフラ監視などのビジネスを展開しようとしていただけに影響は大きいものがある。
今後政府やJAXAはまずは早く原因を究明し、日本のロケットの信頼性回復を急ぐ必要。
というのもウクライナ危機でロシアが衛星打ち上げサービスを拒否し、今、世界ではロケット不足となっている。
JAXAなどには世界の衛星事業者から打ち上げの問い合わせも来ていて、ビジネスチャンスが今、目の前にあるわけ。
ここでもたついているとアメリカのロケットなどに需要の多くを奪われ太刀打ちできなくなりかねない。
今回の失敗をばねにさらに信頼性を上げて、打ち上げビジネス参入に乗り遅れないようにしていかなければならない。
(水野 倫之 解説委員)
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