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『グレー』『ブルー』『グリーン』 水素の種類と新目標

土屋 敏之  解説委員

◆燃やしても二酸化炭素を出さない「水素」の普及に向けた動きが加速している

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水素は以前から温暖化対策の面で期待されてきましたが、ロシアのウクライナ侵攻で天然ガスなどの不足が深刻化していることで、エネルギー安全保障の面からも重要性が増してきました。
先月、IEA・国際エネルギー機関が大幅な供給増加が必要だと発表したのを受ける形で、経済産業省が主催した会議には30の国・地域・国際機関が参加し、2030年に低炭素の水素の生産を現在の百倍以上の9千万トンに増やす目標が掲げられました。
12日には国に続いて今度は東京都も国際フォーラムを開くなど普及への動きが相次いでいます。

◆各国が先を急ぐ中でよく見ると信号の色がおかしい

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これは「水素の種類」を表しています。
実は現在世界で流通している水素のほとんどは、化石燃料から作る通称「グレー水素」と呼ばれるもので、製造過程ではCO2を出しているので脱炭素に直接は役立たないのです。
これに対し、化石燃料から作るもののその際に出るCO2は地中に封じ込めるなど排出対策をするものが「ブルー水素」、再生可能エネルギーで作るものは「グリーン水素」と呼ばれてきました。
つまりいかに早く低炭素の水素に転換=信号の色を変えられるかが課題なのです。
将来、太陽光や風力由来のグリーン水素が普及すれば、天候で発電量が変わる時は水素を作って溜めておくことで変動を調整できるので「脱炭素」と「安定供給」を両立する手段になりますが、今のところコストが高く普及していません。そこで、国際協力や投資の促進によって加速しようというわけです。同時にこれは新たな産業の主導権争いという面もあって、日本がリードできるのかも注目されます。

(土屋 敏之 解説委員)


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土屋 敏之  解説委員

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