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全国初 "ビジネス裁判所"

清永 聡  解説委員

ビジネスに関する訴訟や手続きを集中的に取り扱う、全国で初めての、いわば「ビジネス裁判所」が東京・目黒に10月11日から順次オープンします。どんな所なのでしょうか。

Q:新しくできた庁舎で裁判官も張り切っているようですね。

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A:この庁舎。私も先日見てきたのですが、外観もおしゃれでオフィスビルのようです。ここは通称「ビジネス・コート」とも呼ばれます。
新しい庁舎には18の法廷のほか、ウェブ会議の専用ブースが設けられるなどIT化に対応しているほか、国際会議や研究会も開けるようになっています。
なにより、ビジネス関係の部署が1か所に集まる裁判所庁舎ができるのは全国でも初めてです。

Q:どんな裁判がここで行われるのですか。

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A:特許や商標などの知的所有権、独占禁止法などをめぐる争い、それに破産手続きや民事再生なども扱います。10月11日には知的財産高等裁判所がここに移ります。10月中には東京地裁の商事部、倒産部、知財部も移転します。
裁判官だけでなく、アドバイザーとなる弁理士や公認会計士などの専門委員もここに集まって、グローバル化が進む経済分野を1か所で取り扱い、迅速な解決につなげようという狙いです。

Q:あれ、中が見えました。職員が使っているのは、ファクシミリ。こちらは郵便切手を貼っています。IT化じゃないんですか。

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A:実は民事裁判のIT化を進める改正民事訴訟法は今年法律が成立したところで、本格的な実施はこれからです。
訴状のネット提出や、口頭弁論をウェブで行うといった取り組みは、2025年度までの全面導入に向けて、まさに準備中です。そのほかの手続きについては、IT化の議論が行われている所です。

Q:じゃあ、まだこれからですね。

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A:ただ、郵便やファクシミリも重要な手段です。というのも、憲法は国民のだれもが裁判を受ける権利を保証しています。IT化はぜひ進めてもらいたいのですが、すぐに「オンラインだけ」にすればよいわけではありません。高齢者などネットを使えない人への配慮も継続してほしいと思います。

(清永 聡 解説委員)


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