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プーチン大統領次の一手は? 強まる強硬派の声

石川 一洋  専門解説委員

ウクライナの4州を併合する条約と称する文書をロシアの上下両院で承認し、プーチン大統領は、一方的な併合を強行しました。石川一洋専門解説委員です。

Qプーチン大統領、クレムリンで何を考えていますか?

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A一方的な不法な併合を強行して、今、どう局面を打開すべきか、報告書を読み、次の一手を考えています。
ドネツク州北部の要衝が奪還されるなどウクライナ軍の反転攻勢が続き、プーチン大統領にとっては、政治的に大きな痛手となっています。
プーチン大統領周辺では、これまでの戦い方はなまぬるいという強硬派の声が強まっています。

Q強硬派とはどういう人たちですか

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Aロシア南部チェチェン共和国のカディロフ首長など軍以外の軍組織を率いる武闘派です。カディロフ氏はプーチン氏個人に忠誠は尽くしていますが、もともとロシア軍との関係は良好ではありません。要衝を奪還されたのは参謀本部や現場の将軍が無能だからだと公然と非難したのです。そして場合によっては低出力の小型の核爆弾を使うべきだと主張しています。こうした強硬派の背後には大統領直属の国家親衛隊などがいて、軍幹部の更迭を狙っているとの見方も出ています。

Qプーチン大統領は強硬派に同調するのでしょうか?

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Aプーチン大統領は先月30日の演説であらゆる手段を使って領土を守ると強硬な姿勢を示しています。ロシアは2キロトンから3キロトンの小型の戦術核兵器を保有しており、戦況が決定的に不利となった場合、核使用する可能性は排除できません。ただまず、プーチン大統領は局面を打開するために、一方的に併合した地域に戦時体制を敷いて統制を強め、鉄道や発電所などインフラや都市部への攻撃をエスカレートする可能性が高いでしょう。
一方現場の軍からは十分な兵力、装備を与えられず戦わされているという不満は強まっています。また動員から逃れようとロシア人の国外流出は止まっていません。足下の基盤は揺らいでいます。
しかしプーチン大統領は退くことを嫌う性格で、彼がどのような一手を出すのか、非常に危険な状況です。

(石川 一洋 専門解説委員)


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