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賃金のデジタル払いとは ~ 銀行口座が不要になる?

竹田 忠  解説委員

社員が給料をスマホで受け取る、
賃金のデジタル払いが解禁される見通しになりました。竹田忠解説委員です。

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【 これまでとどう違うんでしょう?】
A
今は、企業が給料を銀行に振り込んで、それを社員が現金で引き出したり、
スマホのアプリにチャージして使ったりしています。
新たに、銀行を介さずに、企業が直接、よく○○ペイなどと言われている
スマホの決済アプリに給料を振り込んで、
社員がそのままキャッシュレスで買い物したり、送金したり、
できるようにしようという話しが厚生労働省の審議会で進んでいます。

【 なぜ、わざわざ審議会で議論を? 】

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A
実はそこがポイントです。
そもそも賃金は「現金」で「直接」払うことが、法律で決められています。
銀行振り込みは、あくまで例外として認められている。
そこで、その例外に、スマホのアプリも加えてはどうかと議論しているわけです。
政府が成長戦略でキャッシュレス化を進めていることが背景にあります。

【 審議会はそれでOKなんですか? 】

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労働組合の連合などから、「待った」がかかりました。
安全性がハッキリしないと認められないというわけです。

そこで、厚生労働省が今回、新たな案をまとめて
▽デジタル払いには労働者の同意が必要
▽アプリの口座残高の上限は100万円
▽アプリの事業者が経営破綻したり、
不正アクセスで損害が出た場合はアプリの事業者が全額補償する。
こういう案で審議会では一定の理解が得られて、
来年にも解禁される見通しになったわけです。

【 解禁された場合、どちらを選ぶ人が多いんでしょう? 】

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今、想定されているのは、銀行かスマホか、どちらかだけ、というのではなくて、
銀行振り込みを利用しながら、給料の一部をスマホで受け取る、という方法です。
いずれにしても、労働者にとって賃金は最も大事な生活の基盤ですから
安全性はしっかり確保してほしいと思います。

(竹田 忠 解説委員)


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