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アメリカ中間選挙の焦点は?

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ中間選挙まで2か月を切り、民主・共和両党の選挙戦が本格化しています。選挙の焦点について、髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは、バイデン大統領とトランプ前大統領が水槽の中を泳いでいる?
A1)
マグロもサメの一部も、生きるために泳ぎ続けなければなりません。任期半ばの中間選挙で、バイデン大統領には、今後2年の政権浮揚の成否がかかっているから、なおさらです。トランプ前大統領も、2年後の大統領選挙に再び立候補することを視野に入れて、自らが推薦する候補を送り込み、11月の決戦に臨むのです。

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Q2)
情勢はどうなっている?
A2)
現在の連邦議会は、上下両院とも民主党がぎりぎり多数派です。このうち下院は、これまでのところ共和党が優勢に戦いを進め、このままですと、民主党は多数派の座を失うかも知れません。
一方、上院は、ほぼ互角。このところ民主党が勢いを盛り返しています。

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Q3)
なぜ民主党は勢いを盛り返している?
A3)
いまバイデン大統領の支持率は平均42.6%。長い低迷から復調する兆しがあるからです。インフレ抑制法の成立など、政権の実績アピールが、一定の功を奏したかたちです。
今後の焦点は、記録的インフレがどうなるか?物価上昇率は緩やかになってきましたが、有権者の不満は根強いようです。
実は、もうひとつ選挙の焦点があります。

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Q4)
何ですか?
A4)
トランプ氏の去就です。共和党の候補者を選ぶ予備選挙で、トランプ前大統領は、圧倒的な影響力をみせつけました。在任中の機密文書の保管をめぐるFBIによる捜査も、反発するトランプ支持者を、さらに結束させました。しかし、本選挙になりますと、トランプ色の濃い候補が、激戦州で無党派層を遠ざける可能性も指摘されています。
どちらかが選挙に敗れて泳ぎをやめたら、たとえば民主党はハリス副大統領、共和党はフロリダ州のデサンティス知事など、次の大統領をめざす面々が、水槽に飛び込んでくるかも知れません。このため、今度の中間選挙は、バイデン・トランプ両氏にとって、それぞれの求心力の維持をかけた戦いになりそうです。

(髙橋祐介 解説委員)


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