人類は再び月面に立つことができるのか。日本も参加を決めたアメリカの月探査計画の第一弾として、新型の大型ロケットの試験打ち上げがきょうアメリカ・フロリダ州で行われる。水野倫之解説委員の解説。
アメリカが新規開発した月を目指すロケットは全長100m、30階建てビルに相当する、世界最大級のSLS。
先端には新開発の宇宙船が搭載され4人を月へ運べるが、今回は無人で打ち上げ、月を周回して10月に地球に帰還させる計画。
安全性が確認できれば、第2弾として2年後に宇宙飛行士が乗って月を周回。
そして第3弾で2025年以降アメリカの女性飛行士らが月面着陸。水の探査などを目指す。
アポロ以来ということで、アメリカ国内では盛り上がっている部分もあるが、冷ややかな視線を送る国民も。
というのもNASAにとっては、1970年代のスペースシャトル以来のロケット開発で、数10年の技術的ブランクがあってエンジン開発などに難航。
計画より6年遅れ、予算も膨れ上がったことへの批判がある。
ただアメリカとしては今さらやめるわけにはいかない事情も。
宇宙強国を目指す中国。
すでに無人探査機で月の石の回収に成功。
ウクライナ危機で欧米との宇宙協力に一線を画しているロシアとの協力関係を今後深めるとみられ、将来の有人着陸も目指している。宇宙の覇権争いで中国に負けるわけにはいかず、今回はアメリカの威信をかけた打ち上げ。
また日本もアメリカに協力する形で計画への参加を決め、2020年代後半に日本人を月面に立たせることを目指しているのに加え、今回科学ミッションとして超小型の日本の月面着陸機も搭載されており、文部科学省の幹部が現地で打ち上げに立ち会う。
アメリカだけでなく日本にとっても重要な今回のミッション。
まずは日本時間の今夜9時33分の打ち上げに注目。
(水野 倫之 解説委員)
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