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公明党 防衛力強化の議論本格化 与党協議にどう臨む?

田中 泰臣  解説委員

政府が年末までに決定する防衛力の抜本的な強化策。それに向けて与党の公明党が党内での議論を本格化させます。

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Q)公明党側、円陣を組んでいますね。

A)サッカーはワールドカップカタール大会が11月に開幕しますが、日本では同じ秋に、防衛力の強化をめぐり、自民・公明両党による「与党協議」で熱い議論が交わされます。
公明党の党内議論はそれを前に、いわば作戦を練るという意味合いもあります。一方の自民はすでに提言をまとめ、協議のキックオフを待ちかまえている状況です。自民の提言の柱は、今のほぼ倍にあたる「GDP比2%以上も念頭」という防衛費の増額。また、相手のミサイル発射基地などをたたく、いわゆる「反撃能力」の保有です。
同じ与党ながら過去、安全保障をめぐっては、まさに敵味方分かれる試合のような激しい応酬もあっただけに、公明としては党内の議論にも力を入れていくと思います。

Q)過去の与党協議はどのようなものだったのですか?

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A)8年前の集団的自衛権をめぐる協議では連日激しい議論となり、公明の主張で行使できる要件が厳格化されました。これまでどちらかと言えば、自衛隊の活動の幅を広げたい自民に対し、「平和の党」を標榜するだけに、いわば「歯止め」をかける役割を果たしてきたとしています。

Q)今回も同様のスタンスで臨むのでしょうか?

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A)そうとも言い切れません。ロシアによるウクライナ侵攻、それに伴う日本の安全保障への関心の高まりも受けて、党として防衛力の着実な強化を訴えていますし、幹部からは「反撃能力」の保有に一定の理解を示す発言も出ています。
一方で防衛費は、「額ありきでなく真に必要な予算を確保する」とし、外交によって対話の枠組みを作る重要性も訴えています。「平和の党」の看板を掲げながら、防衛力の強化の必要性をどこまで認めるのか。難しい立ち位置とも言えるだけに、まずは党としてどのような方向性を打ち出すのか注目したいと思います。

(田中泰臣解説委員)


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田中 泰臣  解説委員

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