朝鮮半島有事を想定したアメリカ軍と韓国軍による合同軍事演習が、きょうから始まります。演習に強く反発している北朝鮮はどう出るのか?
出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
Q1、「4年ぶり」とありますが。
A1、朝鮮半島で本格的な軍事演習が行われるのは実に4年ぶりなのです。
なぜ4年ぶりなのか?今から4年前の6月、シンガポールで史上初めての米朝首脳会談が行われました。こうした対話ムードを受けて当時のトランプ大統領は予定されていた合同軍事演習を中止したのです。その後も新型コロナウイルスの感染防止を理由に演習は規模を大幅に縮小して行われてきました。背景には、北朝鮮をいたずらに刺激したくないという配慮があったのだと思います。
Q2、しかし今回は大規模な演習が行われるのですよね。
A2、その通りです。この4年間で朝鮮半島を取り巻く情勢は大きく変わりました。米朝協議は行き詰り、北朝鮮はミサイル発射を繰り返しています。アメリカはトランプ政権からバイデン政権に、韓国はムン・ジェイン政権からユン・ソンニョル政権になりました。北朝鮮への配慮よりも米韓同盟を重視するようになったのです。
Q3、キム総書記の表情も変わりました。
A3、北朝鮮は本格的な軍事演習の再開に猛反発しています。キム総書記は「軍事的な緊張を高めるようなことをすれば相応の対価を払うことになる」と報復を示唆しています。対話から対決に舵を切った北朝鮮が弾道ミサイルの発射など挑発的な行動に出てくる可能性は十分あると思います。
Q4、核実験を行うのではないかという観測もありますが。
A4、核実験を再開する準備はしているようです。ただ核実験については中国が強く反対していますので、この秋に予定されている中国共産党大会までは行われないのではという見方もあります。しかし共産党大会が終われば、わかりません。
核実験も含め今後の北朝鮮の動向には十分な警戒が必要です。
(出石 直 解説委員)
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