来年度予算案に向けて各省庁は今月末までに財務省に予算要求をします。中でも注目は岸田総理大臣が「相当な増額を確保する」としている防衛費です。どのような要求になるのでしょうか。
Q)防衛省、様々なものを思い描いているようですね。
A)導入したい装備や増やしたい予算はたくさんあるようです。防衛費は、今年度の当初予算で約5兆4000億円。例年は、各省庁が8月末に行う予算要求で、一定の上限が設けられているため、この段階でほぼ額が決まっていました。
しかし今回は違います。政府として来年度を、防衛力を抜本的に強化していく最初の年としているため別枠の扱いにされたのです。防衛省の担当者は異例としていますが、要求には実質上限がなくなり、年末までの予算編成過程で検討していくことになります。
Q)では、どのように決まっていくのですか?
A)防衛省は今月末の段階では、これまで取り組んできた、いわば既定路線のものについて金額を示して要求し、それとは別に「事項要求」と言われる、金額を示さない項目を多く打ち出します。
この項目こそが、防衛省が抜本的に強化したいとしているもので月末の予算要求が初めて披露する機会となり、来月以降、財務省などとの調整が続いていくことになります。
Q)どのようなものが事項要求となるのでしょうか?
A)例えば、開発中である、敵の脅威圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」を早期に運用できるようにする方針です。これは、政府として年末までに保有の是非を決める、いわゆる「反撃能力」にも使用できると見られているものです。
また陸・海・空ともに無人装備の早期導入なども盛り込む方針です。
今月末の時点で全体の予算規模は見えてきませんが、大幅な増額に国民の理解が欠かせないのは言うまでもなく、その必要性についての説明にも注目したいと思います。
(田中泰臣 解説委員)
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