世界でもっとも人口の多い国について、国連は来年インドが中国を抜いて世界一となるという推計を先月発表しました。
このことが何を意味するのでしょうか。
Q)インドのモディ首相が大きな象を導こうとしていますね。
A)
インドはこれまでも大きな象に例えられてきました。
こちらが国連がまとめた人口推計ですが、先月は、中国が1位でおよそ14億2600万で、2位のインドは14億1700万となっています。
そして来年2023年にはインドが中国を抜くと推計していて、「人口世界一は中国」という常識が変わることになります。
インドの人口は2050年には16億を超え、中国の13億あまりを大きく引き離す見通しです。
Q)逆転する要因はどこにありますか。
A)
中国は2016年まで長年いわゆる一人っ子政策を続けてきました。
その影響で人口はピークとなり、このあと人口が減少に転じる見込みです。
インドも州レベルで子ども2人までの世帯を優遇する策が検討されていますが、医療水準の向上などで乳幼児の死亡率が低下し、人口は増え続ける見通しです。
人口増加は経済発展につながりますが、インドの指導部はそれだけ多くの人を養っていかなければなりません。
食糧をはじめ、雇用、貧困、格差といった、足元の課題がいっそう切実になるおそれがあります。
一方、中国の習近平国家主席にとって、インドは領土問題で対立する隣国です。
インドがさらに大国化することに警戒感を持っているとみられます。
ただ人口で抜かれても、経済では当面負けることはないという中国なりの自負が感じられます。
Q)インドの存在感は強まっていきそうですね。
A)
インドのGDP=国内総生産は2030年までに日本を抜いて世界第3位になると見られています。
人口が減少していく日本にとっては、インドの人口増加を長いスパンで見据えながら、巨大な市場、IT分野など、その成長を取り込んでいくことがますます重要になっていくと思います。
(安間 英夫 解説委員)
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