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ウクライナからの避難民1000万人に

二村 伸(専門)  解説委員

ロシアの軍事侵攻後、ウクライナから国外に脱出した人はおよそ1000万人に上っています。多くが女性や子どもたちで、紛争の長期化に伴い支援のあり方も見直しが迫られています。

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Q.国外に逃れた人が1000万人とはたいへんな数ですね。

国民の4人に1人、チェコやハンガリーの人口に匹敵する数です。ロシアの軍事侵攻から5か月あまり、戦後世界でこれほど速いペースで国民が海外に逃れたことはありませんでした。シリアの紛争でも難民が500万人をこえたのは6年後でしたので、ロシアの軍事侵攻がいかに大規模で市民の命が危険にさらされているかを物語っているのではないでしょうか。また、ウクライナ危機ではこれまでの紛争とは異なる傾向が見られます。

Q.どんな傾向ですか?

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すでに400万人もの人が戦火の祖国に戻りました。ロシアの侵攻によって住宅や病院、学校などが破壊され、行政サービスが機能していない地域も少なくありません。それでも帰国するのは、国外に逃れた人のほとんどが女性や子どもたちで、避難先での生活や仕事への不安に加えて、国にとどまっている夫や父親など家族のもとに戻りたいという人や、海外から祖国を守るために戻った人が多いためと見られます。日本には先週までに1619人が避難しました。その後日本を離れた人は48人で祖国に戻った人もいます。

Q.そうした人たちにはどのような支援が求められるのでしょうか?

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祖国に戻っても安全は保証されていません。住居や就労、医療、教育などの支援に加えて、住まいや仕事を失った人たちへの現金給付など財政面での支援も必要です。また、ウクライナ国外では、避難先にしばらくとどまりたいという人もいれば、1日も早く祖国に戻りたいという人もいるだけに一律ではなくそれぞれの事情に応じたきめ細かな支援が求められます。心理的なケアや帰国後の継続的な支援も欠かせません。
長期化するにつれ、避難先や祖国で安心して暮らせるように支援のあり方を見直す必要もあるのではないでしょうか。

(二村 伸 専門解説委員)

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