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奈良 法隆寺 コロナ禍の世界遺産に広がる支援

高橋 俊雄  解説委員

奈良県にある世界遺産の法隆寺が、新型コロナの影響で参拝者が大幅に減ったとして、クラウドファンディングによる支援を募っています。29日が最終日となるこの支援、寺の予想をはるかに超える広がりを見せています。

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■目標額の7倍以上に
法隆寺のクラウドファンディングは先月15日、目標額2000万円でスタートしました。
初日には記者会見を開いて寺の実情を説明し、一口5000円から100万円までのコースを用意したところ、翌16日、わずか半日足らずで目標額に達しました。
9日目の先月23日に1億円を突破。今月29日午後11時の終了を前に、28日午後8時の時点では、支援を行った人は7150人、総額は1億4300万円あまりと、目標額の7倍以上になっています。
平屋建てのつもりが七重塔を超える高さになったわけで、法隆寺は「本当にすごい支援で、ありがたいです」と話しています。

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■参拝者減で支出切り詰め
集まったお金は、設備の修理や樹木の手入れといった、広い境内の維持管理に充てられます。また、未指定の文化財の修復なども進めたいとしています。
寺の維持管理の多くは参拝に訪れた人が支払う拝観料でまかなわれていますが、法隆寺によりますと、2019年度にはおよそ65万人だった参拝者は、感染拡大によって20年度は20万人と大きく落ち込み、昨年度=21年度はやや持ち直したものの、35万人と半分程度にとどまっています。
寺はこの2年間、樹木の手入れを先延ばしするなど、支出を切り詰めてきたということです。

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■支援した人たちの思いは
ウェブサイトに掲載されているコメントを見ると、「伝統と文化をこの先何百年、何千年と引き継いで行って下さい」など、寺を応援するメッセージが多く寄せられています。
また、「新型コロナでこのような影響があるとは知りませんでした」といった書き込みもありました。
このクラウドファンディング、コロナ禍で歴史遺産を失うようなことがあってはならないという人々の思いの強さとその広がりが、目に見える形で示されていると思います。

(高橋 俊雄 解説委員)

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