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サハリン2 ロシアの思惑は?

石川 一洋  解説委員

ロシアのプーチン大統領が、日本の商社やイギリスの国際メジャーが参加した国際エネルギープロジェクト「サハリン2」をロシア管理下に移すことを命じました。石川一洋解説委員に聞きます。

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Qプーチン大統領がイギリスのジョンソン首相に何か叫んでいますね?

Aロシア許さぬというジョンソン首相に対して、「サハリン2は俺のものだ」と叫んでいます。ロシアのウクライナへの軍事侵攻をきっかけにイギリスのシェルがプロジェクトから撤退を表明、ジョンソン首相がシェルに撤退の決断を迫ったといわれています。シェルはガスの採掘など技術面で大きな役割を担っていました。サハリン2の運営会社がイギリス領のタックスヘブン・バミューダ諸島に登記されています。プーチン大統領はジョンソン首相がシェルの撤退によってサハリン2プロジェクトを潰そうとしているのではと疑ったのです。

Qロシアの管理下に移すとは?

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A今のサハリン2の運営会社を事実上そのままロシアに登記を移すことでしょう。ガスの採掘からLNGの生産までサハリン2は国際協力によって成り立っています。いわばその実態はそのままで会社を完全なロシア法人とすることが狙いでしょう。

Qプーチン大統領、意地悪そうな目をしていますね?

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Aイギリスのシェルが直接の標的だとしても、厳しい対ロシア制裁を続ける日本も弱点のエネルギーを使って揺さぶり、日本の出方を見ようという意図もあるでしょう。

Q日本政府の対応は

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A権益を維持する方針です。ロシアからガスを輸入していないイギリスと違い、日本は、サハリン2からLNG輸入量の9%を輸入しています。しかもサハリン2からの輸入が長期契約であることも重要です。
実は化石燃料の脱却を進める中、中東などからのLNGの長期契約をスポットに切り替わる中で、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が起きたのです。日本としては、価格が安定したサハリンの長期契約はぜひ維持したいところです。
ただ日本としてもロシアの言いなりになるのではなく、国際契約による権利を国際商取引の法に基づき守ることが重要です。

(石川 一洋 解説委員)


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