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なぜテキサス州で電力ひっ迫?

髙橋 祐介  解説委員

この夏、エネルギー資源が豊富なアメリカ南部テキサス州でも、電力需給のひっ迫が心配されているそうです。髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストは、マスク姿のバイデン大統領が持っているのはレコードジャケット?
A1)
テキサス州も記録的な猛暑で、8月は7月より、もっと暑いかも知れません。そこで、大統領には往年のヒットアルバム「Hotter Than July」のスティービー・ワンダーさんに扮して頂きました。
冷房のため電力需要が急増して供給が限界に近づき、すでに今月は2度にわたり緊急の節電が呼びかけられています。しかも、去年の冬は記録的な寒波で大規模な停電も起きていることから、電力の安定供給が、秋の中間選挙で3期目をめざす共和党のアボット知事と、民主党のオルーク候補の間で、争点のひとつになっているのです。

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Q2)
なぜエネルギーが豊富なテキサス州で、電力が足りないのでしょうか?
A2)
こちらは、テキサス州の最近の電源構成です。確かに、石油や天然ガスが豊富で「世界のエネルギーの都」とも呼ばれるテキサス州ですが、実は近年は、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーが、全米で最も速いペースで導入されています。
ところが、この夏は風が吹かない日が多い上、気温が高すぎて太陽光発電も効率が低下、その結果、電力不足が心配されているのです。

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Q3)
それなら、火力発電を増やせばよいのではないですか?
A3)
それはそうなのですが、すでに多くの石炭火力発電所が閉鎖され、天然ガスによる火力発電所の増設は、時間も費用もかかります。コロナからの経済復興やウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰で、値上がりしている電力料金をさらに押し上げかねません。
現在はテキサス州内で独立している送電網を隣接する州とつなげたり、リチウム電池や水素などで電力を蓄えたりすることが、中長期的な課題です。
脱炭素化に伴って、風力や太陽光発電への依存度が高まれば高まるほど、気象条件には左右されない電力を十分確保できるかが、安定供給の鍵を握っています。

(髙橋祐介 解説委員)

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