NHK 解説委員室

これまでの解説記事

岸田総理 原発9基稼働を指示 電力需給改善は?

水野 倫之  解説委員

冬の電力需給ひっ迫に備えて、岸田総理大臣は原発を9基稼働させて対応する方針を示している。
電力不足解消となるのか、水野倫之解説委員の解説。

C220726_0.jpg

今回は冬への対応ということだが、そもそもいままさに節電中のこの夏はどうなったのか。
まだまだ油断はできないが、足元では少し余裕が出ている。
点検中だった発電所が稼働し、暑さも一時期ほどではなくなっているから。

C220726_2.jpg

安定供給には電力の余力が3%必要だが、今週は、全国でこれを大幅に上回ると見込まれている。
問題はカレンダー右側の冬。東北から九州まで厳しい寒さの場合、3%を下回る予想。
そこで原発9基の稼働というわけ。

ただこれは審査に合格してない原発も動かすということではない。法律で審査の合格が絶対条件で、地元の了解も必要なので、それはできない。

C220726_4.jpg

9基はあくまですでに再稼働済みの原発。
中には点検で停止中のものもあるので、冬に9基そろえようというわけ。
ただ大手電力によると9基は冬に動かすことはすでに織り込み済みで、これだけで3%を上回るわけではなく、電力不足解消とはいかない。
今回は原発の最大限活用を掲げる政府として、原発重視の姿勢を示したという事だと思われる。

C220726_6.jpg

そこで重要になってくるのが、休止中の老朽火力の再開。
岸田総理は火力の再稼働も指示していて、経済産業省は休止火力360万kW分の再稼働を求めて今月中に電源の募集を始める計画で、老朽火力頼みとなりそう。
それでもギリギリとみられる。
計画通り稼働できても余力は3%をかろうじて上回る程度で、老朽化でトラブルも予想される。
さらにウクライナ危機で燃料の天然ガスがロシアから入ってこないおそれもあり、綱渡り状態であることに変わりはない。
政府は稼働できそうな電源や燃料の代替調達先の確保にも全力を挙げることが引き続き求められる。

(水野 倫之 解説委員)

関連記事