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バイデン大統領 中東初訪問へ

髙橋 祐介  解説委員

アメリカのバイデン大統領が、就任後初めて中東を訪問し、サウジアラビアとの関係修復に乗り出す見通しです。髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストは、バイデン大統領が腰をかがめて随分と狭い門をくぐろうとしている?
A1)
バイデン大統領は、13日からイスラエルとヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区を訪問するのに続き、15日からサウジアラビアで開かれるGCC=湾岸協力会議にエジプト、イラク、ヨルダンを加えた首脳会議に出席する予定です。アメリカ国内でガソリン価格の高騰が続くなか、アラブの産油国に原油の増産を働きかけることにしています。

Q2)
でも、背中の旗印が門に引っかかりそうですが?
A2)
それが難題です。バイデン政権は、サウジアラビア随一の実力者、ムハンマド皇太子が、自らを批判したジャーナリスト殺害事件に関与していたと断定し、両国の同盟関係は、かつてなく険悪なものになっています。就任以来この1年半、バイデン大統領がムハンマド皇太子と敢えて距離を置いてきたのも、そのためです。
ただ、原油価格の高騰にいま手を打たなければ、秋の中間選挙でバイデン政権の与党・民主党は大敗を喫しかねません。その一方で、「人権・民主主義」の旗を下ろせば、この問題を重視する民主党支持層から大統領自身が強い突き上げを受けてしまいます。バイデン大統領は、そうしたジレンマを抱えているのです。

Q3)
では、訪問の成果は、どれぐらい期待できるのでしょうか?
A3)
サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦が、仮に原油の増産要請に応じたとしても、余剰の生産能力には限りがあり、価格を引き下げる効果は限定的かも知れません。
バイデン政権は、この中東でロシアや中国が存在感を高めていることから、サウジとの関係修復を通じて戦略的パートナーシップを強化し、中ロに対抗していきたいとしています。はたして「人権・民主主義」の旗を掲げたまま、狭き門より入ることは出来るのか?
バイデン大統領の中東外交は、出だしから試練に直面しています。

(髙橋 祐介 解説委員)

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