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生物多様性条約COP15再延期 新たな国際目標は?

土屋 敏之  解説委員

◆生物の多様性の保護を話し合う国連の会議が延期を重ね開催地も変わることに

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世界の二百近い国が加盟する「生物多様性条約」で新たな国際目標を策定する重要な会議・COP15。元々2020年に中国で開催される予定でしたが、いわゆる“ゼロコロナ政策”で世界中から関係者を迎えて対面会合を開ける状況にはなかなかならず、一方これまでの交渉も難航していてオンラインで済ませるのは難しいとも見られる中、延期が繰り返されてきました。
結局、開催地をカナダに変えて12月に開く、ただし議長国は中国のままとすることが先日発表されました。
   
◆難航する交渉

新たな目標は、生物多様性の回復に向け2030年までに陸や海の30%を保護区などにして保全するといった内容が検討されていますが、多くの途上国は、そのためにも先進国からの資金の大幅増加が必要だとしています。特に対立しているのが「生物の遺伝情報から得られる利益」の扱いです。
  
◆遺伝情報から得られる利益

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これまで先進国は途上国で植物や微生物などを採取して、そこから薬などを開発し利益もあげてきました。条約にはこうした利益は途上国に配分する規定もありますが、今や実際に生物を持ち出さなくても、デジタル化した遺伝情報が手に入ればよいというケースも出てきました。例えば新型コロナのワクチンにもウイルスの遺伝情報を利用して迅速に開発されたものがあります。
そのため途上国はこうした利益も配分を求めているのに対し、日本など先進国は遺伝情報には誰もが自由にアクセスできるべきだとして反対しています。
生物多様性は温暖化や感染症のパンデミックとも深く関わっていますし、新たな国際目標をこれ以上遅れることなく合意できるのか注目されます。

(土屋 敏之 解説委員)

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