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サル痘でWHOが緊急委員会開催へ

中村 幸司  解説委員

サル痘の感染が欧米などで広がっています。WHO=世界保健機関は、2022年6月23日に緊急の委員会を開くことにしています。

Q:サル痘の感染は、どれくらい広がっているのでしょうか?

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A:WHOによりますと、上の地図の黄色で示した国では、以前からサル痘の感染が報告されていました。それが、5月以降、6月8日までに、青色で示した欧米などの国で、新たに感染が報告されています。上の地図より感染が広がっているとする報告もあります。
アフリカの黄色で示した国で、リスやネズミといった動物がサル痘のウイルスを持っていると考えられています。そうした動物からヒトに感染し、さらにヒトからヒトに感染しているとみられます。

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動物からヒトへは、動物にかまれたり、接触したりしたときに感染します。ヒトからヒトへは、体液や発疹に接触して感染するケースがあります。ほかに、大量の飛沫を浴びると感染することがあると言われています。
多くが軽症ですが、免疫が低下している人や子どもなどでは、重症化するケースがあるとされています。

Q:欧米などでは、どのような感染が報告されているのですか?
A:これまでは、感染者のいる=黄色で示した国に渡航歴のある人の感染例がありました。ただ、数は少なかったですし、ヒトからヒトへの感染となると、限定的にしか報告されていませんでした。

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それが今回、渡航歴がない人の感染、ヒトからヒトへの感染が相次いでいます。
これまでとは感染の状況が違うのです。
また、性交渉に伴う感染が多いと報告されています。

Q:WHOが緊急に委員会を開くということで、どのような危機感があるのでしょうか?

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A:危機感の一つは、欧米などでの感染が収まらないことです。
もうひとつは、このまま感染が続くと、ヒトからネズミなどの動物に感染するのではないかと指摘されています。そうなるとネズミなどの間でウイルスが広がって、その地域でサル痘が定着してしまうおそれがあります。
黄色で示した国と同じ様に、感染者がいないようにすることが難しくなってしまいます。
6月23日に開かれる委員会の議論で、「緊急事態」にあたる、つまり世界各国が緊急に対策をとる必要があると、WHOが判断するかどうか、あわせて、どのような対策が示されるかが、注目されます。

(中村 幸司 解説委員)

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