韓国のユン・ソンニョル政権が発足してきょうで1か月になります。革新から保守への政権交代を果たしたユン政権は順調なスタートを切ることができたのでしょうか?出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
Q1、きょうのイラストは陸上競技ですね。
A1、先月10日に発足したユン・ソンニョル政権、スタートダッシュは順調のようです。大統領選挙は大接戦でしたが、最新の支持率は53%、不支持(34%)を20ポイント近く上回っています。韓国の大統領と言いますと、「帝王」に例えられるほど絶大な権力を持ち近寄りがたいという印象が強かったのですが、ユン大統領は権力の象徴だった大統領府を就任したその日から一般に開放しました。大統領本人は6キロほど離れたところに新しい執務室を構えて“ぶら下がり”と呼ばれる記者との立ち話にも応じるなど“開かれた大統領”をアピールしています。
Q2、検察官の出身で政治経験がないという批判もありましたが。
A2、そのことは本人も自覚しているようで、首相や外相など主要閣僚には実務に通じたベテランを起用しています。就任からわずか10日でバイデン大統領をソウルに迎え華々しい外交デビューを飾りました。翌日の首脳会談では弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮に厳しく対処する姿勢を打ち出しました。
国会では野党が多数を占めているものの、先週行われた統一地方選挙では政権与党がソウルやプサンなどを制して圧勝し内政面でも勢いに乗っています。
Q3、となりますと、日韓関係でも進展が期待できそうですか?
A3、ユン大統領は就任式が終わった後、アメリカ政府の代表の次に林外務大臣と会談するなど日本重視の姿勢を示しています。竹島の周辺で韓国船が海洋調査を行うという水を差すような動きもありましたが、高官レベルの接触も活発になっていて、日本に留学経験もあるパク・チン外相の訪日も調整されています。
実現すれば2019年11月以来の韓国外相の日本訪問となります。
スタートダッシュの勢いで日本との関係の改善にも本気で取り組んでくれることを期待したいと思います。
(出石 直 解説委員)
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