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保険証が廃止? マイナカードに一本化とは?

竹田 忠  解説委員

政府は、現在使われている健康保険証を、
原則廃止する方針を打ち出しました。竹田忠解説委員に聞きます。

【 いつ、保険証が廃止されるのか?】

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A
これは政府が閣議決定した「骨太の方針 2022」に盛り込まれたもので、
「保険証の原則廃止を目指す」と明記された。
ただ、これは今すぐ、というのではなく、
将来、廃止することを目指すというもの。
また、廃止しても、本人が希望すれば、その分は発行される、と
政府は説明しています。

【 なぜ、廃止することを目指すのか?】

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A
実は、政府としては、
マイナンバーカードを健康保険証として利用することを広めたい。
というのも、このカードは事前に登録すれば、
そのまま、健康保険証として使えます。
それによって、これまで処方された薬や、別の病院で出された薬、
それに検診データなどが後から自分で確認できて、
治療に役立てることができる。

ただ、対応可能な病院は2割程度にとどまっている。
このため、政府は今、政策を総動員していまして
▼病院にはシステムの導入を義務づける
▼利用登録をした人には、7500円分のマイナポイントをプレゼント。
▼そして、大きな問題になっている、
マイナンバーカードを患者が利用した場合にかかる
医療費の負担増について見直すとしています。

【 なぜ、今、急いで、ここまでするのか? 】

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A
最大の理由は、来年3月までに、
ほぼ全ての国民がマイナンバーカードを持つようにする、
という政府の目標があるため。
しかし、今持っている人は44%。大きな開きがある。
そこで、保険証は将来、
マイナンバーカードと一本化される、ということを強く打ち出し、
早目にカードを持ってもらおうという狙いでは?

ただ大事なのは、
みんなが本当にカードを持ちたい、と思えるかどうか。
カードが便利で、使い勝手よくて、安全なら
利用者は増えるわけですから、
もっとそういう前向きな努力も必要だと思います。

(竹田 忠 解説委員)


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