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芸能人の心の相談窓口6月から設置 その背景は?

名越 章浩  解説委員

悩みを抱える芸能人やスタッフなどの心のケアを行う相談窓口が、6月1日から開設されます。
名越章浩 解説委員に聞きます。

【相談窓口なぜ設置?】

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SNSで誹謗中傷を受ける中、おととし自殺したプロレスラーの木村花さんの問題のほか、優越的な立場を利用した映画監督らによるセクハラ問題などもありました。
芸能関係者は、華やかなイメージがあるかもしれませんが、心は傷ついているということも少なくありません。
そもそも生活基盤が脆弱なフリーランスの人が多いうえ、SNSなどで常に不特定多数の人から監視・評価の対象にされ、強いストレスにさらされる一方で、誰にも相談できず、孤立してしまうこともあるのです。
そこで、俳優やモデル、音楽家などで作る「日本芸能従事者協会」が、協会独自に臨床心理士による相談窓口を設けることになりました。

【公的な相談窓口だけでは不十分?】

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この団体が今年の2月から3月にかけて、フリーランンスの芸能関係者へアンケート調査を行ったところ、回答を寄せた人のうちの、96%が一般の相談窓口を利用したことが「ない」と応えていました。
その理由としては、「話しにくい」「身元がバレないか」「相談したことが漏れないか心配」などの意見が多く、顔が知られることの多い芸能関係者ゆえの悩みが、そこにはあったということです。
実際、このアンケートでは、仕事中に、パワハラやセクハラなどの「ハラスメントを受けた」と回答した人は全体の半数近く、48.3%にのぼっていて、表面化しているのは、氷山の一角に過ぎないことをうかがわせます。

【心の声をしっかりと聴く体制が必要】
「日本芸能従事者協会」では、6月1日に東京都内で記者会見を開いて、心の相談窓口の開設を広く周知し、利用を呼び掛けたいとしています。
最近では、新型コロナの影響の長期化によって、健全な心身を維持することが益々難しくなっています。
日本の豊かな文化を支える人たちの働きやすい環境をいかに整えるか。業界だけでなく、社会全体で考える必要があると思います。

(名越 章浩 解説委員)

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