NHK 解説委員室

これまでの解説記事

吉川元農相に判決 現金提供は賄賂か?献金か?

山形 晶  解説委員

C220526_0.jpg

吉川貴盛元農林水産大臣が、大手鶏卵生産会社の元代表から現金500万円を受け取ったとして収賄の罪に問われた裁判で、26日、東京地方裁判所で判決が言い渡されます。
そのポイントや注目点について解説します。

C220526_3.jpg

吉川元大臣は在任中に現金を受け取ったことは認めています。
ただ、政治資金収支報告書に記載していませんでした。
通常の政治献金であれば、収支報告書に記載したり領収書を発行したりして、適正に処理します。
検察は、通常の献金ではなく賄賂だったことを示すものだと主張しました。
これに対して、元大臣は「賄賂ではなく政治活動への応援だと思っていた」として無罪を主張しています。
つまり、現金の趣旨を争っています。
収支報告書に記載しなかった理由については、「現金を渡した側が誰にいくら寄付したか知られたくないだろうと考えたので記載しなかった」と説明しています。
この点をどう見るかが1つのポイントになります。

C220526_5.jpg

そして重要なのは、農林水産大臣という職務に就いていたから現金を渡されたのか?という点です。
当時、元代表が関わっていた業界団体は、農水省にさまざまな要望を行っていました。その要望と現金の提供は関係があるのか?という点がポイントです。
裁判所は、2人の間で行われたやり取りなどを総合的に見て、現金の趣旨、つまり有罪か無罪かを判断することになります。

ここで1つ指摘しておきたいのは、政治家が現金を受け取ったのに収支報告書に記載しないケースが相次いで明らかになっていることです。
遠山清彦元財務副大臣の融資の仲介をめぐる事件や、河井克行元法務大臣による買収事件で現金を受け取った広島の議員らのケースの一部もそうでした。
発覚したのは、いずれも検察の捜査がきっかけでした。
収支報告書に記載しないのはそれ自体不適切ですが、今回のように有罪の根拠として使われる場合もあります。
政治に携わる人たちには、改めて適正な処理を徹底してもらいたいと思います。

(山形 晶 解説委員)


この委員の記事一覧はこちら

山形 晶  解説委員

こちらもオススメ!