アメリカのバイデン大統領は、日本と韓国を訪問するため、首都ワシントンを出発しました。北朝鮮による挑発行動を警戒しています。髙橋解説委員とお伝えします。
Q1)
けさのイラストは、大工の棟梁みたいなバイデン大統領、いったい何の工事?
A1)
就任後初めてとなるアジア外遊で「自由で開かれたインド太平洋」を支える柱を立てる。そんなイメージを絵にしてみました。日韓両国と“同盟の絆”を再確認、また新たな経済連携「IPEF=インド太平洋経済枠組み」の発足に向けて協議をスタート、さらに日米豪印4か国のクアッド首脳会合にも出席し、アメリカのリーダーシップ回復を広く印象づけるのが訪問のねらいです。ところが、心配されているのは北朝鮮による挑発行動です。
Q2)
マスク姿のキム・ジョンウン総書記は何をしている?
A2)
新型コロナウイルスの感染拡大でいま「建国以来の大動乱」にあると言う北朝鮮。しかし、ワクチンを分配する国際的な枠組みからの供給も拒んだままです。
アメリカは、北朝鮮が、アメリカ本土に届くICBM級を含めた新たな弾道ミサイル実験、あるいは2017年以来となる7回目の核実験、もしくはその両方を強行する可能性があるとして、警戒の度を高めています。
日米両国は、北朝鮮に自制を求めるよう、中国にもそれぞれ働きかけを要請しましたが、実際それがなされたか、北朝鮮が聞く耳を持つかも定かではありません。
Q3)
仮にミサイル発射や核実験が行われたら大変ですね?
A3)
いまの北朝鮮がいつにも増して危険なのは、核兵器の開発を諦めないばかりか、先制攻撃を含めた実戦での使用も辞さない構えを示しながら、中国もロシアも国連安全保障理事会で制裁強化に反対し、何の歯止めもかからなくなっていることです。だからこそ、バイデン大統領の訪問を通じて日米韓の3か国が連携し、“抑止力の強化”が必要です。
インド太平洋地域の平和と安定にバイデン大統領はどこまで指導力を発揮できるか?を、今回の初訪問からさっそく問われることになりそうです。
(髙橋祐介 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら