◆生態系への影響が懸念される外来種への対策強化のため先週国会で外来生物法が改正された
近年、各地の港でお尻に毒針を持つ危険な外来生物ヒアリの発見が相次ぐようになっているほか、個人が輸入した物の梱包を開けたらヒアリの死骸が出てきてヒヤリ!とするようなケースも起きています。国は今や国内にヒアリが定着しそうなギリギリの段階だとして、対策強化を打ち出しました。
今後法律の下の政令で決めることになりますが、来年の春にもヒアリなどがいる疑いのある場所や輸入品を載せた車両などを行政が立ち入り検査や消毒などが行えるようにする方針です。また、現在はヒアリかどうか判定結果が出るまでは事業者に貨物の移動を禁じることが出来ずその間に拡散するおそれもあるのに対し、調べている段階でも止められるようになります。
◆法改正でもうひとつ変わりそうなのが、アカミミガメとアメリカザリガニの扱い
ペットとしても飼われているアカミミガメ、小さいものはミドリガメとも言います。これとアメリカザリガニはどちらも北米原産で、日本の生き物の生息地を奪ったり水辺の植物を荒らすなど被害も出ていますが、現在は規制対象の「特定外来生物」にはなっていません。特定外来生物は、「飼育」や「輸入」「譲渡」、環境への「放出」が禁じられますが、アカミミガメとアメリカザリガニは合わせて数百万匹が飼育されていると推計されるため、急に規制するとかえって捨てられて生態系が悪化するおそれもあるためです。
そこで今回、特例を設けて規制の一部だけを適用出来るようにしました。今後、販売目的でなく飼育することなどは認める一方で売買や捨てることは禁じる方針です。
外来生物と言っても元々は人間が持込んだ生き物で、罪はありません。アウトドアに出る機会も増えるこの時期、自然や生態系について考える機会になればと思います。
(土屋 敏之 解説委員)
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