5年ぶりに政権交代を果たした韓国の新しい政権がきょう発足し、ユン・ソンニョル新大統領が就任式に臨みます。出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
Q1、日本の順番に注目ということですが。
A1、午前中に行われる就任演説では、アメリカや日本など主な国を順にあげて外交方針を示すのが通例となっています。きょうの演説でユン新大統領が日本について何番目に触れるのか、その順番に注目しています。
過去の大統領の就任演説を読み返してみたのですが、イ・ミョンバク大統領はまず同盟国のアメリカ、次に日本、そして中国の順でした。しかしその後のパク・クネ大統領、そしてムン・ジェイン大統領はアメリカ、次に中国、そして日本と日本は3番目でした。
Q2、日本と中国の順番が入れ替わったのですね。
A2、日本と中国のGDPが逆転したのは2010年、イ・ミョンバク政権の半ば頃でした。中国の台頭とともに日本と中国の順位が逆転したのだと思います。
ただユン新大統領は日米韓の連携を重視しています。当選した直後にはバイデン大統領に次いで2番目に岸田総理大臣と電話会談をしましたし、就任に先立って代表団を派遣したのもアメリカの次に中国ではなく日本でした。
日本を重視する姿勢を示しているのです。
Q3、となると、また日本の順位が上がって日韓関係も進展が期待できそうですか?
A3、大統領にそのつもりはあっても、そう簡単ではないでしょう。大統領選挙では革新候補との差はごくわずかでした。国会では革新系が6割の議席を占めていて政権与党は少数派です。保守と革新の対立は激しく、政権運営はけっして容易ではありません。徴用をめぐる問題では日本企業の資産を現金化する手続きが進められています。
岸田総理が就任式への出席を見送り、林外務大臣を派遣したのも、新政権の出方をもう少し見極めようという判断だったのではないでしょうか。
ユン新政権の外交を見ていくうえで、まずはきょうの就任演説での日本の順番に注目したいと思います。
(出石 直 解説委員)
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