アメリカ中西部オハイオ州で、あす(3日)、秋の中間選挙に向けて、民主・共和両党がそれぞれ上院選の候補者を選ぶ予備選挙が行われます。髙橋解説委員とお伝えします。
Q1)
けさのイラストは、久しぶりにトランプ前大統領、いったい何をしている?
A1)
全米有数の激戦州オハイオから“復活”の狼煙を上げようとしているトランプ前大統領。かつての選挙スローガンに「Again」の文字を加えて、「再びアメリカを再び偉大にしよう」と存在感のアピールに余念がありません。「アメリカはインフレや治安悪化でこのままでは地獄に落ちてしまう」そんなトランプ節を炸裂させて、民主党陣営を攻撃します。
Q2)
トランプ氏は共和党の誰を応援している?
A2)
そこがポイント。こちらのJ.D.ヴァンス氏です。「ラストベルト」=「さび付いた工業地帯」と呼ばれる製造業が衰退した地域で繁栄から取り残された白人労働者層の日常を描き、映画化もされたベストセラー「ヒルビリー・エレジー」の著者として知られる人物です。実はこの人、かつてはトランプ批判の急先鋒でしたが、上院選に名乗りを挙げるや態度を豹変し、最終盤でいわば“トランプ印の公認”を得たことを弾みに、混戦から抜け出そうと懸命です。
11月の中間選挙で、オハイオ州の上院議席は、この共和党の予備選挙の勝者と、民主党の下院議員による激戦となる公算が大きくなっています。
Q3)
なぜオハイオ州の上院選がそんなに注目されている?
A3)
ことは中間選挙にとどまらず、次の2024年大統領選挙でトランプ氏は返り咲けるのか?そのすう勢を占うものになるからです。今月は、この中西部オハイオや東部ペンシルベニアなど13の州で予備選挙があり、候補者選びがいよいよ本格化します。そこでトランプ氏の“推しメン”が多数勝利すれば、前大統領も共和党内で求心力を維持し、逆に“推しメン”が敗退すれば、影響力の低下を露呈してしまいます。
バイデン大統領もそうしたトランプ氏の動向に警戒感を隠さず、自らの再選をめざして立候補する意欲を改めて周囲に語っているようです。はたして“トランプ復活”の狼煙は上がるのか?全米の注目が集まります。
(髙橋 祐介 解説委員)
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