ドイツのショルツ首相が28日に日本を訪問し、岸田総理大臣と会談します。就任後アジア最初の訪問国として日本を選んだ意味とその狙いは何でしょうか。
Q.イラストはサッカーの試合ですね。
日本とドイツはことし11月ワールドカップの初戦で対戦しますが、今はG7のチームメートとして連携を強化しています。G7議長としてチームを率いるショルツ首相は、16年におよんだメルケル政権の後を継いで4か月、一方、岸田総理大臣は安倍政権から菅政権を経て就任後半年と、G7の常連だった2人に代わるフレッシュな顔ぶれで、年齢的にも同じ世代です。メルケル氏は中国との経済関係を重視し、首相在任中12回中国を訪問した一方日本への訪問は6回でしたが、ショルツ氏は首相就任後最初のアジアの訪問国に日本を選びました。日本重視の姿勢がうかがえます。
Q.首脳会談ではどんなことが話し合われるのですか?
6月のG7サミットに向けて、対ロシア制裁やウクライナ支援について協議するほか、インド太平洋地域の安定のための協力関係の強化が重要なテーマです。ドイツは中国一辺倒だった対アジア政策を転換し、この数年は日本との関係強化を進めており、幅広い閣僚間の協議を日本とも実施したいとしています。ただショルツ首相はいま国内外で様々な課題に直面しています。国内ではエネルギー価格高騰への対応と、ロシア依存からの脱却を迫られています。対外的にはロシアだけでなくウクライナとの間でも微妙な関係にあります。
Q.微妙な関係ですか?
ゼレンスキー大統領はドイツが武器の供与に消極的だと批判してきました。シュタインマイヤー大統領の訪問も過去のロシアとの関係を理由に拒絶し両国関係はぎくしゃくしています。内外の批判を受けてショルツ首相はウクライナに戦車を供与する方針に転じましたが、ウクライナ危機をめぐってG7をいかにまとめるか責任は重大です。日本としても国際社会で存在感を高めるためにドイツとの連携が欠かせません。最初の会談がその足固めとなるのか注目したいと思います。
(二村 伸 解説委員)
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