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参院石川補選 参院選へ与野党の課題は

権藤 敏範  解説委員

参議院石川選挙区の補欠選挙は、4月24日に投票が行われ、自民党の候補が勝利しました。

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Q)イラストでは、勝った与党側も浮かない表情ですね?

A)実は、夏の参議院選挙に向けた自民党と公明党の選挙協力に不安があるからです。
両党は、参議院選挙でも互いに推薦を出し合うことで決着しましたが、3年前や6年前の選挙と違っていまだに調整がつかない地域もあり、公明党から自民党への推薦も一部にとどまっています。
また、両党は、最近、原油価格の高騰対策や緊急対策の財源など政策決定の際にギクシャクする場面が目立ちます。こうしたズレも選挙に影響しないか懸念があるようです。
さらに、自民党は、参議院選挙の候補者調整でも課題を抱えています。

Q)それは何ですか?

A)自民党執行部は、定員が1人で、国民民主党の現職が立候補する予定の山形選挙区で、候補者の擁立を見送る方向で調整しています。

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政策協議を続ける国民民主党への配慮という見方がありますし、野党を分断し連合の一部を取り込みたいという思惑も伺えます。
ただ、党内では、「1人区で不戦敗はありえない」といった批判が強まっています。
一方、野党側も選挙協力が思うように進んでいないようです。

Q)どういうことですか?

A)立憲民主党が、全国に32ある1人区で候補者の一本化を呼びかけたものの、「兄弟政党」と呼んできた国民民主党は、一部の複数区で日本維新の会と連携するなど溝は深まるばかりです。また、共産党との候補者調整も順調とは言えず、むしろ共産党は積極的に候補者を擁立しています。このため、すべての1人区で候補者を一本化した3年前や6年前とは違って、今回は、野党候補が競合する選挙区が多くなると見られます。一本化しても勝利が難しい選挙区には、比例票獲得のために候補者を擁立した方が良いという考えも背景にはあるようです。

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このように、与野党ともに複雑さを増している各党の選挙協力がどうなるのか、それを有権者がどう受け止めるのか、注目です。

(権藤 敏範 解説委員)


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