6年前の熊本地震では避難所運営の担い手不足が課題になったことから、住民が主体になって運営をするリーダーを育てようという取り組みが進められています。
Q)熊本地震では避難所のあり方が問題になりましたね。
A)熊本地震では亡くなった276人の8割が災害関連死で、地震による直接の死者を大きく上回りました。原因を見ると「避難所などでの生活の肉体的・精神的負担」が3割近くを占めました。
最も多いときで855カ所あった避難所では自治体職員やNPOなどが中心になって運営にあたりましたが、人手が足りずに環境改善が進まないところが少なくありませんでした。関連死の背景と指摘され、担い手の確保が課題になりました。
Q)国はどう対応しようとしているのでしょうか?
A)いま内閣府は住民が主体になって運営する、全国的な仕組みづくりをめざしています。
まず避難所運営者としての資格を創設することにしました。3種類あって
▼ひとつの避難所のまとめ役にあたる「避難生活支援リーダー」
▼地域全体の状況を見ながら避難所のリーダーに助言をする「アドバイザー」
▼そして食事や衛生・保健など専門的知識を持って調整・助言にあたる「コーディネーター」
カリキュラムと研修制度づくりを急いでいます。
Q)そうした人材をどう確保するのですか?
A)内閣府は自治会など住民組織のほか災害救援の実績のある団体、大学や企業などにも働きかけることにしています。今年度中にモデル地区を設けて取り組みを始めます。
南海トラフ巨大地震が起こると430万人が避難所に行くと考えられています。
災害時に住民が主体になって避難所をうまく運営するために、普段の地域活動や防災の取組と連動して理解を広げることができるかがカギになります。
(松本 浩司 解説委員)
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